お知らせ|NEWS

木の生命力、未来の森

新年明けましておめでとうございます。

旧年中はいろいろとお世話になりありがとうございました。

本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

 

冬らしく、午後からは少し陽差しも少なくなり、

冷えてくるような日が続きます。

 

今日は本のご紹介です。

 

 

『木のみかた 街を歩こう、森へ行こう』

 コーヒーと一冊 10

 三浦豊 ミシマ社 2017年

 

木というか、植物の生命力を感じられる書物。

 

著者の方は、森の案内人という肩書きがついています。 

庭師さんだそうです。なるほどと思います。

 

森や山のみならず、街なかに生えてきた植物なども

取り上げられています。

 

現在の日本では、木を伐る人がいなくなり、

かつてないほど木が生い茂っている状態なのだそうです。

これが、温暖化や少子化とともに進行してゆくと、

いったいどのようになってゆくのでしょうか?

 

ピックアップされている木(植物)は、

桐、赤芽柏(アカメガシワ)、葛、楠(クスノキ)、

神樹、桜、山桑、棕櫚、臭木(クサギ)、

山漆、山櫨(ヤマハゼ)、白膠木(ヌルデ)、

椋の木、イチョウ、欅、松、榎。

 

それぞれの木にまつわるコンパクトにまとめられた解説からは、

著者の、植物に寄り添うような姿勢がにじみだしています。

 

森の語源は「盛り」、林の語源は「生やす」だそうです。

どちらにしても豊穣な緑のイメージが思い浮かびます。

 

ほんとうに太古の昔から、

この日本列島の豊かな植生と、樹木たちの生命力に包まれて、

人間やその他の動物たちのいのちもまた、

脈々とつながれてきたのだなあと感じ入る一冊です。

 

人と木の新しい関係も芽生えてゆくとなおよいですね。

 

 

 

 

 

 

 

住むこと、暮らすこと。

11月に入りました。

今日は立冬。

 

朝晩は冷え込みますが、日中の陽光は暖かく、

あたりを明るく照らしてくれます。

 

今日は本のご紹介です。

 

 

『父の縁側、私の書斎』

檀ふみ 新潮文庫 平成18年

 

作家・檀一雄が晩年に住んだ九州、能古島の家・月壺洞の話から始まり、

東京、石神井の自分の家のこと、父の仕事場の離れのこと、

自分自身の暮らしぶりや、山の家のことなどなど。

 

建て替えにまつわる、建築家とのやり取りや、

兄一家との二世帯住宅のエピソード、

また、自分が幼い頃の家の記憶や父との思い出、

家にまつわるモノ〜表札、本棚、間接照明、キッチン用品、絨毯などの話が、

ユーモラスな筆致で綴られていきます。

 

一般的には、知的な芸能人というイメージのある檀ふみの、

人間らしい深みのある側面がほのぼのと感じられる、

珠玉の一冊。

 

しかも最終章では、家族との思い出が詰まった家と庭が

道路建設のための立ち退き問題に直面するのです。

 

ささやかな人々の想いと、抗することのできない時代の流れに、

物悲しくしみじみとした読後感を覚えます。

 

今となってはクラシックな昭和の文士のイメージを持つ檀一雄の

作品も、一冊読んでみたくなってきました。

木を植える

まだ梅雨もあけず、蒸し暑い日々が続きます。

今日は本のご紹介です。

 

 

「木を植えた男」

ジャン・ジオノ/作 寺岡襄/訳 黒井健/絵

あすなろ書房 2015年

 

南フランス、プロバンス地方在住の作家による、

その土地を舞台にした物語。

 

20世紀の前半の二つの世界大戦の時期に、

ただただこつこつと荒地に種をまき、苗を植えて

後半生を生きた羊飼いの男性を描いています。

 

厳しい荒地から豊穣の地へと変化してゆく自然描写が美しく、

男性の行為のつつましやかな崇高さが読む者に切々と伝わってきます。

 

彼の行ないは、自分の目先の利益だけを求めた働きではありません。

樹木の生長や命の長さは人の時間を遥かに超越しているからです。

 

木々の性質を熟知し、ただたんたんと種をまき、苗を植えて

木々に新しい命を与え、荒地を緑あふれる豊穣な土地に変えてゆく男性のことを

観察者としての書き手が何年間かのスパンで語ってゆきます。

 

大地、植物、水、空気・・・。

食物連鎖の頂点に立つ人間たちがおごり高ぶり、

無茶な経済活動を継続して自然をないがしろにしたら、

自然はきっと仕返しをしてくるでしょう。

 

人々は、何によってその命をはぐくまれているのか・・・?

普段の生活に煩雑さにとりまぎれ、私達は大事なことをともすると忘れがちです。

 

フランスではなくても、プロバンス地方ではなくても、

彼が実在の人物ではなく、創作された人格であっても、

この物語の教えは、地球上の陸地や海や川や山のいたる所で、

人と自然との関係という意味において、普遍的なものを含んでいるように思えます。

 

 

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