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材料や文化としての木について

一月はいぬる。二月は逃げる。三月は去る。と言います。

一年の中でもこの三ヶ月は特に、過ぎるのが早く感じられるようです。

 

二月も早三分の一が過ぎました。

今日は本のご紹介です。

 

『木と日本人 〆猝據軸歛世犯帖

監修・文 ゆのきようこ 樹木画 長谷川哲雄

理論社 2015年

 

木と日本人シリーズの第一巻。

切り倒した樹木を製材した板や、丸太などを使用して、

縄文の昔から日本人はさまざまな工夫で、住まいや道具などを

作ってきました。

 

この本は、材、家、米、土、橋、船、器、暮、遊、という章立て

から構成されています。

 

家の章には、昔ながらの蔀(しとみ)戸、木でできた雨戸、

玄関の格子戸、障子、襖などの伝統的な建具の写真が掲載されています。

 

また、当店から程近い岡山県南、児島にある野崎邸の、

何枚もの襖でしきられた昔の建築空間も紹介されています。

 

引き戸の敷居(しきい)や鴨居(かもい)には、

けやきなどのじょうぶな木や、見栄え重視のときには建具とお揃いで

木目の美しいヒメコマツが使われたりするそうです。

 

暮の章では、もちろん椅子や机もありますが、

一昔前の箱膳や、引き出しのついた日本的なたんすも紹介されています。

和だんす、船箪笥、箱階段。

 

今でこそ当たり前のようにある引き出し付きの家具ですが、

実はそれを作るためには、カンナという道具の発達が必要でした。

滑らせることのできるまっすぐな箱を正確に木でつくる技術、

枠と箱を両方作るための豊富な材料の入手など、色々な条件が揃わなければ、

引き出し付きの家具というものはできないのですね。

 

「適材適所」という言葉があります。

この一冊をすべて読み終えると、

森林面積が多い日本列島で快適な暮らしを営み続けるために、

木の性質(硬い、柔らかい、粘りがある、殺菌効果がある、

湿気を吸収する、繊維が利用できるなどなど)を見極めて、

手仕事によって、役に立つモノを生み出してきた先人の知恵に脱帽せざるを得ません。

 

そして、人が暮らしていく限り、木という素材の利用の物語は

伝統的な手法の伝承にしても新しい使い方の開発にしても、

連綿と続いて行くことでしょう

 

 

 

書斎と書棚

2月が始まりました。

昨日の岡山県南は、久しぶりにまとまった雨が降りました。

 

今日は本のご紹介です。

 

 

『ミニ書斎をつくろう

   自宅にスペースがなくても書斎を持てる!』

杉浦伝宗   KADOKAWAメディアファクトリー新書086  2013年

 

男の夢・書斎について、「狭小住宅建築家」と自らを呼ぶ建築家が、

様々な角度から語っています。

 

最近の住宅設計の仕事において、

書斎を作りたいというニーズが高まっている傾向があるのだそうです。

 

既存の住宅でも、押入れ、ベッドルームやリビングの一角、

階段下などのスペースを利用して、

三種の神器、机、椅子、書棚を備えればミニ書斎が成立します。

サイズは伝統的な茶室を参考にして、2畳〜3畳。

 

仕事から離れて自宅でほっと一息つける空間。

現代生活においては、PCを操作したり、モノを書いたり、

本を読む場所というだけではなく、一家の主の趣味の城というところでしょうか。

 

こもり感を大切に、とか、

自分が趣味に打ち込める空間を家庭内に作ることで、

家族全体にいい影響を及ぼすことなど、

書斎の心理的な側面も。

 

     *     *     *

 

ここでは棚は本や趣味の道具を収納するだけではなく、

こもるための間仕切りの役割も兼ねていたりします。

 

例えばあえて低い書棚で空間に「抜き」を作る

間仕切りの方法なども紹介されています。

 

     *     *     *

 

書斎の拡大と縮小というお話も興味深いものがあります。

 

拡大は、書斎でする事柄に応じて、

書斎スペースをひとつずつ増やしていくこと。

 

縮小は、例えば千利休の妙喜庵「待庵」や永井隆の「如己堂」のように、

人生を達観した人が究極の小さなスペースに行き着くこと。

 

そのような視点で捉えてみると、「書斎」というスペースを通じて、

人生の在り方まで考えてしまいそうです(*^-^*)

 

 

 

 

 

 

1920年代の建築

冬の午後は光も少なく、

夕方にかけてだんだん冷え込んできます。

 

今日は本のご紹介です。

 

 

『小さな家 UNE PETIT MAISON』

ル・コルビュジェ 著 /   森田一敏 訳

1980年 集文社

 

1924年にル・コルビュジェがスイスのレマン湖の岸に建てた、

コンクリートブロック造りの住宅の30年にわたる変遷の記録。

 

この建物は彼の両親の老後用の住居として建てられた、ごく私的なものでした。

湖に面した南側に11mもの長い窓の開口部があるのが特徴的です。

 

基礎部分で地下水が上下する影響で建物の一部が動いて亀裂がはいった時の対処法や、

スイスの厳しい自然に耐え得るように、あとから北側の壁面に金属の外装材

(当時の航空機をイメージさせるスタイル)を施工したりと、

年月による劣化や、リフォームや修理の様子なども細かく記録されています。

 

建物の立地についての考え方、庭の樹木に関する試行錯誤の記述、

家を取り囲む塀の作り方、屋上庭園の描写なども興味深いものです。

 

家の各箇所を撮影したモノクロームの写真と、建築家本人のデッサンが多数収録されていて、

小冊子ながら、コルビュジェのエッセンスに触れることのできる素敵な一冊といえるでしょう。

 

 

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